人に気を遣うタイプと遣わないタイプがいる。人に気を遣わないというと、“無神経な人”というイメージがするが、この場合“マイペースな人”というニュアンスである。商売を営む家で育った私は無駄な気を遣ってしまうタイプだ。人の顔色を窺ってしまうタイプと言ったほうが正しいかもしれない。別に媚びているわけではないのだが、必要以上に気をまわしてしまうのである。だから、人の評価なんて一切気にせずに、自分のやりたいことをやる人に憧れている。もっとも、簡単に性格なんて変えられるものではないのだが………。ある時、気がついたことがある。「マイペースな人(気を遣わない人)は、荷物が少ない」他人がどうであれ、我が道をいく私の友人は、いつも、小さなバッグひとつで外出する。余計なものは一切、持たない。何か足りないものがあったら、その時に考えればいいそうだ。そのほうがカッコいいし、何よりも楽だろう。それに較べて、私はいつも大きなバッグにありとあらゆるものを入れている。ご祝儀袋から、裁縫セット、いろいろな薬、デジカメ、印鑑、バンドエイド、辞書、母子手帳……。必要以上に気を遣う人は、いろんな場合を想定してしまうのだろう。家を出る前に、あれもこれもと目についてしまうのだ(ブラジルに旅行した時、「向こうのトイレットペーパーは硬くて使いづらい」と聞いて、トランクをもうひとつ用意して、みんなの分のトイレットペーパーを何十個も詰めて行ったほどである)。これは、性格だから仕方がないのだろう。ただでさえ、ものがいっぱい入っている私のバッグの中に新顔が登場した。Debauve&Gallaisのチョコレートである。“Grainsd’Arabica”は、化粧クリームが入っていそうな奇麗なバランスの箱の中に、珈琲ビーンズにチョコレートがコーティングされたものがくしゃくしやの紙に包まれて、ざっくり詰まっている。パリのお土産にもらったことがあって、あまりの可愛らしさと美味しさに感動したものである。珈琲の香ばしさと濃厚なチョコレートのハーモニーはまさに大人の味だ。ある日、レストラン「キャンティ」で売られていた。チョコレートにしては高価だが、時々急に食べたくなることがある。ある時は映画を観ながら、ある時は珈琲を飲みながら、ある時は公園を歩きながら、ひとつ口に入れる。そばにいる友達にも勧めると、みんな喜んでくれるので、バッグの中に常に入れておくようになったのだ。それから何人かの友達と一緒に「キャンティ」に行ってこの“Grainsd’Arabica”を買ったのだが、バッグの中に入れて持ち歩いているのは、やはり、気を遣うタイプの友人だけだった。チョコレートはお中元にオススメの逸品だ。